SiC-セミナー(2020版) 概要(第四部)

第四部は、SiC-MOSFET(モジュール)の評価事例紹介です。

まずは、Si-IGBTとSiC-MOSFETの比較をしましょう。

SiC-MOSFETとして、600A1200V6in1を試作しました。比較の対象となるのは、InfineonのIGBT, FS380R12A6T4B (380A1200V)です。パッケージの大きさが同一である事より、このIGBTモジュールを選定しました。

6in1ですが、P端子、N端子が共通ではなく、2in1が3個入った構造です。従って、Vds, VFの測定も上図のように、この2in1を利用して行いました。

測定結果は、上図の通りです。600A通電しても、IGBTより低くなりました。

ダイオードは、違います。600Aも通電すると、VFが5Vにも達してしまいます。ところがです。上図の左側の赤線のカーブを見て下さい。ゲートに正の電圧を印加すれば、BD(ボディダイオード)では無く、MOSFETのチャネルを通電するので、600A通電しても1.0V程度です。IGBTよりも低いのです。IGBTは逆方向に電流が流れないので、FRDが逆並列に必要ですが、MOSFETの場合は、そのままMOSFETのチャネルを通電すれば良いのです。つまり、FRDが不要なのでIGBTよりも大きなMOSFETチップを使用する又は、IGBTチップよりも多くのMOSFETチップを並列に接続できるのです。

インバータの動作を良く考えて見ましょう。ハイサイドとローサイドのゲートにオン信号が供給されますが、同時にオンとなる事はありません。出力電流が正であれ、負であれ、電流はオン信号の与えられている素子を通電するのです。IGBTモジュールは、電流の方向により、IGBTに通電したり、FRDに通電したりしますが、MOSFETモジュールでは、MOSFETのみなのです。但し、ゲート信号が切り替わる休止期間には、瞬間的にBDに通電するので、BDの逆回復特性も重要となります。

スイッチング損失は、電流が600Aの時Eonは約30mJ, Eoffは約50mJとなりました。当然ですが、IGBTよりも少ないのです。

BDの逆回復特性もFRDに劣りません。

そして、熱抵抗も同等です。(このパッケージの場合、熱抵抗は接合―ケース間では無く、接合―冷却体間で表現されています。)

SiC-MOSFETモジュールの特性がSi-IGBTモジュールの特性よりも優れている事が証明されました。

次は他社SiC-MOSFETモジュールとの比較です。

他社製品として、RohmのBSM600D12P3G901を選びました。理由は試作したサンプルの2in1の部分と形状が似ているからです。Rohmのモジュールの定格は600Aで内部回路としてBDと並列にSBDが挿入されていました。試作品は定格が450Aですが、スイッチング条件は600Aなので、類似していると考えられます。

Vdsの測定結果は上図の通りです。Rohm製品をVds=3Vで600Aと読み取ると、試作品はVds=3Vで850Aという結果になりました。試作品の方が若干優れています。

試作品のBDのVFはRohm製品のSBDのVFよりも高くなっていましたが、チャネルの逆方向の電圧降下は、試作品の方が若干低くなっていました。

スイッチング時間は、Rohm製品の方が優れていました。

当然ながら、スイッチング損失もRohm製品の方が優れていました。

熱抵抗は、Rohm製品が非常に優れていると読み取られますが、これにはからくりがあります。試作品の熱抵抗は接合・冷却水間で測定された値であり、Rohm製品の熱抵抗は接合・ケース間で測定された値なのです。

つまり、試作品の場合は、試作品を水冷ジャケットに取り付け、指定の冷却体を指定の速度で流せば、許容損失がカタログの熱抵抗から求められるのですが、

冷却用のフィンがついていない産業用の場合は、素子の熱抵抗に対して、モジュールと放熱フィン間の接触熱抵抗を加算し、風量に依存する冷却フィンの熱抵抗を加算しないと許容損失が求まらないという事です。

パワーデバイスの許容損失を比較する場合は、冷却法の確認も必要です。

さて、試作品では、定格が450A, スイッチング条件が600Aですが、1600Aまでターンオフ出来ました。

まとめ

現在は多くのメーカがディスクリートのSiC-MOSFETを生産しています。

SiC-MOSFETモジュールも生産されています。

そのモジュールのパッケージはさまざまです。

Siの次世代デバイスです。

次世代デバイスの開発を応援するNSOLUTIONは、

中国Leapersを技術支援しています。

以上で終了します。

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