過渡熱抵抗の測定方法(JEDEC51-14の概要)

EEE.二重過渡熱抵抗測定法の概要(JEDEC51-14: Transient Dual Interface Test Method)

E-1.試験法の目的

ケース温度を測定出来ない(ケース温度測定の為の穴を開けると熱の流れが変わってしまう)半導体の(接合・ケース間)熱抵抗を測定する。従来の方法に追加となる。

E-2.対象製品

TO-263のようなディスクリートデバイス。マルチチップのモジュールにも適用の可能性あり。マルチチップの場合は、個別に検出電流を通電し、個別に温度上昇を測定する。6in1の場合は、6回路個別に検出電流を通電する。1回路に3個のチップが並列されている場合は、VFの一番低い(温度の一番上昇している)素子の特性が算出される。

E-3.試験方法

放熱用グリスを塗布しない場合(a)とした場合(b)の二回の過渡熱抵抗を測定し、過渡熱抵抗の値の差が大きくなる点の熱抵抗を接合・ケース間の熱抵抗とする。

文献には上図のように約0.005秒で3℃/Wとなるように記載されていましたが、過渡熱抵抗のカーブから判断すると、0.05秒の間違いと思われます。

E-3-a.具体的試験方法1 過渡熱抵抗の測定

  先ずは図4のように2種類の過渡熱抵抗を測定する。データの数は時間が10倍になる毎に50個以上とする。(時間が短い場合は細かい間隔でサンプリングを行う事になります。)

E-3-b.具体的試験方法2 時間が短い領域での近似

時間が短い場合は、測定回路が不安定となり過渡熱抵抗を正しく測定できないので、一旦測定したデータの接合温度を縦軸とし、横軸を時間の1/2乗としてプロットし、特定の値(tcut)以下を直線で近似します。特定の値とは、横軸を時間の対数とした図1では約20us、横軸を時間の1/2乗とした図2では0.01sec0.5, 即ち約100us となっていました。

E-3-c.具体的試験方法3 分離点を求める

図4の二つの過渡熱抵抗よりその差⊿ZθJCを求めます。

図4の過渡熱抵抗の差が読み取りにくい場合には、まず、過渡熱抵抗のdlog(t)当たりの熱抵抗の変化を図8の(a)のように求めます。

ここで a=ZθJC z=Log(t)  です。

二つのda/dzから差を読み取って⊿(da/dz)を求めます。当然⊿(da/dz)=da1/dz-da2/dzとなります。

図8(b)の縦軸を拡大し、横軸は熱抵抗に変換します。変換する時のθJC-tは図4のZθJC-Time(s)のカーブの(1)を使用しても(2)を使用しても構いません。

∵ 分離点まではZθJC-Time(s)が同じだから。

図10のように、赤色で示された過渡熱抵抗の差を

δ=α*exp(β*Z)で近似し(図では青色のカーブで示されている)、

ε=0.0045*θJC+0.003(図では0.0045の単位も表示されている)

と交差するθJC(上図では3.0)を接合-ケース間の熱抵抗とします。ここでεはFEシミュレーションに基づいた数式とありました。

図4と図10を比較すると、二種類の過渡熱抵抗の分離点が正しく読み込まれています。

E-3-d.具体的試験方法4  報告事項

この試験方法を利用した場合は、下記の項目を報告するよう義務付けられています。

補足: tcutとは、図1又は図2でそれ以下を直線近似とした時刻

⊿TJ(tcut)とは、時刻t=0とt=tcutに於ける接合温度の差

⊿da/dz: 図8の説明参照

ε:本試験法では、ε=0.0045*θJC+0.003とするよう推奨しています。

⊿CθΣ:一般に過渡熱抵抗のグラフは、縦軸に熱抵抗、横軸に時間を取りますが、縦に時間軸、横に過渡熱抵抗を示した時の時間軸がCθΣで示されます。

図6参照

⊿CθΣは、熱グリス有のCθΣと熱抵抗無しのCθΣの差を示します。

図12参照。 熱抵抗は4.25K/Wとなっています。

補足の補足:図4と図10はリンクしています、図6と図12はリンクしています。しかし、図4と図6は同じデバイスではありません。

FFF.TDIの応用例

上記は、電流容量の大きなモジュールを使用して測定したダイオードとIGBTの過渡熱抵抗です。Zth0R9が熱伝導率の悪い場合、Zth3R2が熱伝導率の良い場合です。JEDEC51-14に従うと、接合・ケース間の熱抵抗は、0.2から0.3秒で飽和する事になりますが、大電流デバイスの場合は、従来より10秒程度で飽和するとしていますので、一部熱伝導グリスを含む熱抵抗を素子の熱抵抗と考えた方が安全です。

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