パワーエレクトロニクスの基本(3) AC-ACコンバータ

パワーエレクトロニクスの基本として、AC-ACコンバータを紹介します。AC-ACコンバータとして、AC-DC-ACコンバータを含めて紹介します。直接のAC-ACコンバータはマトリックコンバータを指します。AC-DC-ACコンバータには、電流型インバータと電圧型インバータがあります。

電圧型インバータには、各種の回路、各種の制御方法があります。

下記の順で紹介します。

AAA.AC-AC変換

1.(旧式)マトリックスコンバータ

BBB.AC-DC-AC変換

B-1. 2.電流型インバータ

2a. サイクロコンバータ

B-2. 3.電圧型インバータ

3a. 2レベルインバータ

3a1. 正弦波PWM

3a2. 二相変調(3モード)

3a3. 二相変調(6モード)

3a4. ベクトル制御

3b. 3レベルインバータ

3c. マルチレベルインバータ

CCC. AC-AC変換(高速スイッチ)

4.(最新)マトリックスコンバータ

***** 1.(旧式)マトリックスコンバータ *****

マトリックスコンバータとは、入力用の三相ラインと出力用の三相ラインを直接ACスイッチで接続し、必要な出力用の電源を得る回路です。

従来は、ACスイッチとして、サイリスタを利用していました。サイリスタとは、正の電圧を印加した状態でゲートにオン信号を入れると、オン状態となり、通電電流が保持電流以上になるとオン状態を維持するパワーデバイスです。ターンオフする場合は、逆バイアスを印加し、電流がゼロになるのを待つ必要がありました。

左図を参照して下さい。30°でW相とU相が交差し、その後60°間隔で何れかの波形が交差しています。サイリスタがターンオフできるタイミングなのです。

 

サイリスタに左の表のようなタイミングで6個のサイリスタにオン信号を与えてみましょう。

 

 

左図のような電源電圧の1/2倍の周波数の波形が得られます。商用電源として利用するには、フィルタ回路が必要です。

 

 

 

サイリスタに左の表のようなタイミングで6個のサイリスタにオン信号を与えてみましょう。

 

 

 

 

左図のような電源電圧の1/3倍の周波数の波形が得られます。もちろん、商用電源として利用するには、フィルタ回路が必要です。電源の周波数が50Hzであれば、16と2/3Hzの電源が得られるのです。

 

 

***** 2.電流型インバータ *****

左図は、電流型インバータの回路例です。

入力側のサイリスタの位相制御により定電流を作成し、出力側のサイリスタにゲート信号を与えて、順次電流を負荷へ供給します。左図は三相の例を示していますが、サイリスタの数を増やせば、6相も12相も作れます。

左図は入力側のサイリスタにオン信号を与えるタイミング(位相角度)と平均電流の関係を示しています。位相角が少ない(例えば30°)場合、電流は早く飽和し、位相角が多い(例えば130°)場合、電流が飽和するのに時間がかかっています。(位相の制御範囲は30°から150°までです。)ここでは、相電圧=220Vac, 平滑インダクタンスL1=10mH, 負荷抵抗RL=2Ωで計算しています。Vout=30は位相角30°で制御した場合の時の出力電圧です。

出力側のサイリスタは次のように動作させます。まずサイリスタTh11とTh15にオン信号を与えて負荷抵抗に通電します。コンデンサC11, C15には図で示したように、充電されます。サイリスタTh16にオン信号を与えると、コンデンサC15の電荷はTh15に逆方向電圧を印加し、サイリスタTh15に通電していた電流は、コンデンサC15を図示された方向とは反対に充電し、赤矢印の電流が減少します。一方サイリスタTh16がオンになったので、抵抗R3を通電する青矢印の電流が増加します。電流は、平滑リアクトルで一定化されていますので、Th11には同じ電流が流れ続け、サイリスタTh15からTh16へ電流が切り替わった事になります。次にサイリスタTh12にオン信号を与えると同じようにして電流がサイリスタTh11からTh12に移り変わります。このようにして順次電流の通路を切り替えて交流電流を作ります。図のように、ハイサイドに3個、ローサイドに3個のサイリスタを使用すると、三相の交流電流が出来上がります。

最近は、IGBTがありますので、サイリスタの部分を左図のように切り替えれば容易に電流型インバータができます。

 

 

この場合は、左図のようにオン信号を与えます。ターンオン、ターンオフのタイミングが6回ありますので、6stepと呼ばれます。

 

 

 

また、前記の回路では、逆電流防止ようのダイオード(D11からD16)を使用していましたが、フリーフォイルダイオード内蔵のIGBTモジュールを使用すれば、IGBT部分に逆方向電流が流れる事がないので、左図のように回路は簡単になります。

 

但し、電流型インバータの場合、一定の電流が流れ続けるので、PWM制御を行う場合のDutyは左図のようになります。つまり、1サイクル360°の内60°は連続通電です。例えばU相のIGBT1の場合、60°から120°が連続通電です。120°から180°はV相のIGBT2とのPWM制御となります。180°から240°はIGBT2が連続通電です。240°から300°はW相のIGBT3とのPWM制御です。300°から360°はIGBT3が連続通電です。360°から420°(0°から60°)はU相のIGBT1とのPWM制御となります。そして、PWMの最中もリアクトルの電流は一定ですので、PWM中の二つのIGBTのDutyは加算すると1であり、Dutyの減るIGBTが先にオンとなり、Dutyの増えるIGBTがそれに続いてオンとなるように、信号の与え方に工夫する必要があります。そして、IGBTは自己消弧型デバイスですので、電源の周波数に関係なく、任意の出力周波数で動作させる事ができます。

2a.サイクロコンバータ

電流型のインバータでは、電流の大きさを入力側のサイリスタで制御し、出力周波数をサイリスタ又はIGBTのスイッチング素子で制御しました。サイクロコンバータは、出力周波数も入力側のサイリスタで制御しようと言うものです。但し正の電流を供給する位相制御と負の電流を供給する位相制御が必要ですので、二台分の回路が必要です。

 

 

三相の位相制御の場合、各相の電圧は次式で示されます。
Vu=Vp*sin(θ), Vv=Vp*sin(θ-120), Vw=Vp*sin(θ-240)
U-V間の線間電圧は
Vu-v=Vp*(sin(θ)-sin(θ-120))=Vp*(sin(θ-60)*cos(60)+cos(θ-60)*sin(60)
-(sin(θ-60)*cos(60)-cos(θ-60)*sin(60)))
=Vp*(2*cos(θ-60)*sin(60))=√3*Vp*cos(θ-60)

となります。
平均値は

となります。

三角関数の部分に注目すると θ=30の時1, θ=90の時1/2, θ=150の時0となっています。

これは、出力周波数の位相をφで示すと。

θ=90+(30-φ)*2   @φ=0~30

θ=30+ABS(90-φ) @φ=30~150

θ=90+(φ-150)*2   @φ=150~180

θ=150             @φ=180~360 とすれば、正弦波に近い出力を得る事を意味します。

計算結果を左記に示します。

目標とする出力周波数に対応するように、入力側のサイリスタのオン信号の位相(θ)を調整したものです。抵抗負荷で計算していますので、実際には平滑リアクトルの影響を受けて電流は少し遅れる事になるはずです。ここで、相電圧=220Vac, 負荷抵抗=2Ω,出力周波数=入力周波数の0.1倍として計算しました。フリーフォイルダイオード有りで計算していますので、無い場合には、出力周波数の0~30°及び150~180°の部分が若干かわります。(上図では0から300°と1500~1800°の部分)正の側のサイリスタが動作して出力電流を調整している時、負の側のフリーフォイルダイオード(FRD)が接続されていると、出力短絡となってしまうので、正・負が切り替わる毎にFRDを切り替えるか、FRD無しで使用する必要があります。

このコンバータを三台使用して出力波形の位相を120°、240°と遅らせれば、三相のサイクロコンバータが出来る事になります。但し、前述の計算例で示したように、出力周波数は、電源電圧の周波数よりも小さくなります。

 

 

 

***** 3.電圧型インバータ *****

左図は、電圧型インバータの回路例です。平滑用のコンデンサには、過充電を避ける為に、抵抗経由で充電し、十分に充電されたところで、リレーをオンにして正常な運転に進みます。

 

左図は、電流型インバータと同様に6ステップでの駆動信号を示したものです。電流型とは異なりますので、IGBT1とIGBT2の間に、駆動しない時間があってもかまいません。但し、上下関係にある、IGBT1とIGBT4, IGBT2とIGBT5, IGBT3とIGBT6を同時にオンにする事はできません。同時にオン信号を入れると、平滑コンデンサを短絡する事になり、過電流が流れて破損します。

3a. 2レベルインバータ

2レベルインバータとは、出力端子のレベルをハイとローの二つのレベルで制御する方法です。左図で言えば、IGBT1にオン信号を与え、IGBT4にオフ信号を与えた場合、出力端子Uは平滑コンデンサC1に充電された電圧にまで上昇します。逆にIGBT4にオン信号を入れ、IGBT1にオフ信号を入れると、U端子は平滑コンデンサの0Vレベルになります。出力端子に現れるのは、平滑コンデンサの電圧(Vdc)と0Vのみですが、Dutyを変え、平均値として所望の電圧を取り出します。

3a1. 正弦波PWM

IGBT1にDuty=(1+M*sin(θ))/2の信号を与えIGBT4にDuty=(1-M*sin(θ))/2の信号を与えます。もちろん、IGBT4のDutyは1-IGBT1のDutyです。出力端子Uには、Vdc*(1+M*sin(θ))/2の電圧が出力されます。Mは変調率と呼ばれるもので、この場合1が最大です。Sin(θ)の最大値は、1ですからこれに変調率の1を掛け算し、1を加算して2で割り算すれば最大で1です。直流電圧(Vdcの1/2)と交流電圧(Vdc*M/2が最大の正弦波で位相の遅れが無い)の和である事がわかります。V相、W相は、電圧の大きさが同じで、位相が異なるのみですから、上記の数式のsin(θ)をsin(θ-120)又はsin(θ-240)に置き換える事になります。

これを図示すると、左図のようになります。U相平均電圧は上記の数式により得られる波形です。ここで、Vdc=600V, M=1としています。出力電流は、抵抗負荷(力率=1)の時の電流波形です。IGBT1にオン信号が入って正の電流が流れます、IGBT1がオフになると、その電流は、IGBT4のFRD(FRD4)を通電します。再度IGBT1にオン信号を与えると、FRD4は逆バイアスされて通電が止まり、IGBT1から電流を通電します。 同様な事を負の電流が流れる時には、IGBT4が電流を通電し、オフした時にはFRD1を通電します。なお、見やすくするために、左図の波形は、実行電流Ic=200Arms, スイッチング周波数=4.5kHzで計算しました。

 

3a2. 二相変調(3モード)

正弦波PWMの相電圧の交流成分のみをみると、左記のようになっていました。インバータ回路の直流回路と負荷のGNDは接続されていません。即ち、線間電圧が同じであれば、同じ電流が流れるはずです。

そこで、-30°から90°は、IGBT5をオン状態にしてIGBT3とIGBT1をPWM制御、90°から210°はIGBT6をオン状態にしてIGBT1とIGBT2をPWM制御,210°から330°は、IGBT4をオン状態としてIGBT2とIGBT3をPWM制御としても同じ線間電圧を得られるはずです。

相電圧 Vu=Vp*sin(θ)

Vv=Vp*sin(θ-120)

Vw=Vp*sin(θ-240)   に対し

線間電圧は、Vu-v=√3*Vp*sin(θ+30)

Vv-w=√3*Vp*sin(θ-90)

Vw-u=√3*Vp*sin(θ-210)   となるので、

Dutyは、

 

 

 

となります。

Dutyを波形で示すと左図のようになります。

 

 

 

そして

スイッチング波形は左図のようになります。正弦波PWMと比較して、スイッチング回数が減ります。線間電圧をVdcにまで上げられます。

(正弦波PWMの場合は、√3/2倍まででした。)

 

 

 

 

3a3. 二相変調(6モード)

3モードでは、相電圧波形の最低電位に注目しましたが、これではローサイドの素子に損失が集中し、放熱的にアンバランスとなります。そこで、最低電位と最高電位の両方に注目します。

即ち、0°から60°は、V相をロー(IGBT5-オン)に、60°から120°は、U相をハイ(IGBT1-オン)に、120°から180°は、W相をロー(IGBT6-オン)に、180°から240°は、V相をハイ(IGBT2-オン)に、240°から300°は、U相をロー(IGBT4-オン)に、300°から360°は、W相をハイ(IGBT3-オン)にして他の二相をPWMとして制御する事もできるはずです。

相電圧 Vu=Vp*sin(θ)、Vv=Vp*sin(θ-120)、Vw=Vp*sin(θ-240)   に対し

線間電圧は、Vu-v=√3*Vp*sin(θ+30)、Vv-w=√3*Vp*sin(θ-90)、Vw-u=√3*Vp*sin(θ-210)   となるので、

Dutyは、

となります。

Dutyを波形で示すと、左図のようになります。

但し上図の変調率はM=1,下図の変調率は√3/2=0.88です。

二相変調の出力電圧は、正弦波PWMより、2/√3=1.155倍大きくなるので、同じ出力電圧を出力するには、変調率を0.88倍する必要があります。

 

 

そして

スイッチング波形は左図のようになります。

二相変調(6モード)では、6個のIGBTの損失が基本的に等しくなります。

 

 

 

 

***** ベクトル制御解説 *****

一般に三相の電圧・電流はピーク値、三角関数および角度を使用して、

次の様に表示されます。Vu=Vp*sin(θ)、Vv=Vp*sin(θ-120)、Vw=Vp*sin(θ-240)

ベクトル図ではこれを矢印で左図のように示します。矢印の長さが大きさを示します。角度の差が位相差をしめします。水平方向右を0°とすると、U相の電源は、0°で0, 90°で1, 270°で-1となり、U=Vp*sin(θ)となるのです。

 

 

 

 

モータの場合は、三相電源に対して6個のベクトルを使用します。U相は正弦波ではなく、余弦波でVu=Vp*cos(θ)で表現されています。ここで、新しくU相が登場します。U相とは、0V(COM)からU相端子に流れる電流(磁束)に相当します。実際には、0V(COM)が端子として出ていませんので、Uの時は、UからVとWへ、の時はVとWからUへ通電します。同様にVの時は、VからWとUへ、の時はWとUからVへ,Wの時は、WからUとVへ、の時はUとVからWへと通電するのです。またインバータの回路に合わせ、U相は(1,0,0), V相は(0,1,0), W相は(0,0,1), 相は(0,1,1), V相は(1,0,1), 相は(1,1,0)で表示する事もあります。

(本来記号としては、アルファベットの上に横線(-)を引いて、反転信号である事を示すのですが、Wordでは使えない為、下に横線(-)で表示しました。)

さて、動作を確認します。最初の0°から60°で考えます。

ベクトルUをV1, ベクトルWをV2とします。V1=Ip*cos(θ)、V2=Ip*cos(θ-60)としたいところですが、0°から60°の間の任意のベクトルの大きさを考えると、

V=V1*cos(θ)+V2*cos(60-θ) =Ip*cos(θ)*cos(θ)+Ip*cos(θ-60)*cos(60-θ)

=Ip*(1+1/4) @θ=0

=Ip*(3/4+3/4) @θ=30

となりベクトルの大きさが一定ではありません。

そこで、V1=Ip*sin(60-θ)、V2=Ip*sin(θ)と変化させます。

V=Ip*sin(60-θ)*cos(θ)+Ip*sin(θ)*cos(60-θ) =Ip*sin(60)

となり、角度に寄らず回転ベクトルの大きさが同じとなり、モータの場合は、滑らかに回転する事にます。

実際の動作としては、スイッチング周波数をfc, スイッチング周期をT0=1/fcとすると、

V1のモードで、T1=M/T*sin(60-θ) の間該当するIGBTにオン信号を供給し、続いてV2のモードで、T2=M/T*sin(θ)の間該当するIGBTにオン信号を供給し、残りのTs=T0-(T1+T2)は、全てのハイサイドのIGBTをTs/2の間オンとし, 全てのローサイドのIGBTをTs/2の時間オンとします。

スイッチング信号のイメージは左図を参照して下さい。

1サイクルの間のスイッチング回数が1回となるように、T1がU, V,, Wの場合は、All H信号を1サイクルの中央で発生させ、T1がU, V, Wの場合は、All L信号を1サイクルの中央で発生させます。

 

 

 

 

Dutyは、

 

となります。

Dutyを波形で示すと、左図のようになります。変調率はM=0.866としました。

 

 

そして

スイッチング波形は左図のようになります。

 

(電流は力率=1で正弦波と仮定しています。又スイッチング周波数は見やすくする為に、4.5kHzで描いています。前述のT1,T2のタイミングについては考慮しておりません。Dutyのみを考慮して描いています。)

 

 

 

**********ベクトル制御(つぶやき)**********

ベクトル制御は、モータの電流を検出して行います。周波数や角度が分からなかったらどうすれば良いのでしょうか?

まず、電流をα、β変換します。

変換式は次の通りです。

ここでIα(t)=α、Iβ(t)/√3=β1 と表記します。Iu(t), Iv(t), Iw(t)が三相の正弦波であれば、α=Iu(t)となります。

左図にαとβ1の波形を示します。

 

 

 

 

波形から8つの部分に分けられます。

 

 

 

 

モータのベクトル図を思い出して下さい。U相の電流のピーク値を基準に60°間隔でV1とV2で代表されたセクタが

始まります。

ケースとセクタの対応は左図のようになります。

 

 

 

 

T1とT2の計算結果を左図にしめします。

T1はsin(60-θ)で減少し、T2はsin(θ)で増加しています。

 

 

 

キャリア周波数からスイッチング時間間隔としてTmaxを求め、各素子のスイッチング時間を求めると次のようになります。

Ts=Tmax-(T1+T2), S1=T1+T2+Ts/2, S2a=T1+Ts/2, S2b=T2+Ts/2, S3=Ts/2

 

 

 

 

三角関数を用いずに、IGBTのオン時間を導き出しました。電流波形があれば、位相角度が分からなくても、IGBTのオン信号はもとめられるのです。出力電流を増加するには、検出電流の増幅率を上げ、オン時間を伸ばし、Tmaxに近づけます。負荷が軽い場合は、検出電流の増幅率を低下させます。

 

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3b. 3レベルインバータ

3レベルインバータとは、出力端子のレベルをハイとセンターとローの三つのレベルで制御する方法です。

U相に注目して下さい。正の電圧で正の電流を供給する時、IGBT1とIGBT2にオン信号を供給します。赤色→のように電流が流れます。この状態でIGBT1をオフにすると、電流は青色→のように流れ出力電圧は0Vになります。赤色→と青色→の繰り返しでPWM制御を行います。

負の電圧を供給するには、IGBT3とIGBT4をオン状態にします。正の電流が流れていると、黒色→のようにFRDを通電します。0Vを供給する時、IGBT4をオフにするのですが、正の電流の通路が無くなってしまうので、IGBT2をオンにし、青色→のように通電させます。電流が負になると、IGBT3をオンにして、茶色→のようにD22を通電させます。負の電圧を印加する時には、IGBT3とIGBT4をオンにします。

IGBT1のDutyは、 D=M*sin(θ) 但しθ=0から180°

=0         但しθ=180から360°

IGBT4のDutyは、 D=0         但しθ=0から180°

=-M*sin(θ) 但しθ=180から360°

IGBT2のDutyは、 D=1-IGBT4のDuty

IGBT3のDutyは  D=1-IGBT1のDuty   で示されます。

これを図で示すと左図のようになります。

(変調率M=0.8で示しています。)

 

 

これを基に、U相の出力平均電圧及び各素子の電流を計算すると左図のようになります。(変調率はM=0.8ですが、力率もcosφ=0.8で表示しています。)

600VのIGBTで1200VのIGBTと同等の動作ができるというのが利点です。

 

 

 

3レベルインバータには、前述(I-type)と異なる配線の回路もあります。左図(T-type)を参照して下さい。

U相にて説明します。正の電圧で正の電流を供給する時、IGBT1にオン信号を供給します。赤色→のように電流が流れます。IGBT1をオフにする時IGBT2がオンになっていると、電流は青色→のように流れ出力電圧は0Vになります。赤色→と青色→の繰り返しでPWM制御を行います。負の電圧を供給するには、IGBT4をオン状態にします。正の電流が流れていると、黒色→のようにFRDを通電します。0Vを供給する時、IGBT2をオンにして青色→のように通電させます。電流が負になると、IGBT3をオンにして、緑色→のようにD22を通電させます。負の電圧を印加する時には、IGBT4をオンにします。

IGBT1のDutyは、 D=M*sin(θ) 但しθ=0から180°

=0         但しθ=180から360°

IGBT4のDutyは、 D=0         但しθ=0から180°

=-M*sin(θ) 但しθ=180から360°

IGBT2のDutyは、 D=1-IGBT4のDuty

IGBT3のDutyは  D=1-IGBT1のDuty   で示されます。 3 Level I-typeと同じ数式です。

これを基に、U相の出力平均電圧及び各素子の電流を計算すると左図のようになります。

(変調率はM=0.8ですが、力率もcosφ=0.8で表示しています。)

IGBT1とIGBT4のスイッチング電圧はVdsですが、IGBT4がオン状態となると、IGBT1には2*Vdcの電圧が印加され、IGB1がオン状態になると、同様にIGBT4に2*Vdcの電圧が印加されるので、動特性はVdc対応でかまいませんが、静特性は2*Vdc対応が必要です。

 

 

3c. マルチレベルインバータ(又はマルチレベルコンバータ)

マルチレベルインバータとは、単一のインバータを複数直列に接続して高耐圧のモータ等を駆動する方法です。

左図は1ユニット分を示す回路です。

電源は、トランスにて絶縁され、インバータ側は、正負切り替え用のスイッチとPWM制御用スイッチに分かれます。

 

6台直列に接続した場合の回路のイメージを左図に示します。

ゲート信号の作成方法の例を左記に示します。

6レベルのインバータを作成する場合、6レベル分の振幅の大きな三角波形を準備します。出力用の正弦波を入力します。

(左図では、ピーク値を5.5レベル分としました。三角波形は、分かり易いように周波数を下げて表記しています。)

正弦波が1レベル以下の場合、1レベルのインバータのPWM制御をします。1レベルを超えた場合は、1レベルの正の出力を供給します。正弦波が1レベルと2レベルの中間の場合、2レベルのインバータのPWM制御をします。2レベルを超えた場合は、2レベルの正の出力を供給します。同様に6レベルまで信号を作ります。正弦波が負の場合も同様に作成します。

ゲート信号のイメージを左記に示します。

当然ながら出力電圧が5レベル以下に下がった場合、6レベルのインバータは、ローサイドがオン又はハイサイドがオンとなって電流は、IGBTとFRDを通電する事になります。

 

三相分準備すれば、三相のモータも駆動できます。

 

 

 

 

  1. (高速)マトリックスコンバータ

スイッチング素子を電源電圧で転流するサイリスタからゲート信号で高速スイッチングの出来るIGBTに切り替えたのが高速のマトリックスコンバータです。

 

 

動作を理解する為に、電圧型インバータの回路を復習しましょう。

電源は三相の交流です。U相を基準にどのダイオードが通電するか考えます。見直してみましょう。

0~30°はWからV(D3からD5)へ、30~90°は、UからV(D1からD5)となります。

 

表にすると左図のようになります。

Mode1の時にIGBT1がオンになれば、RとUが接続された事になり、IGBT4がオンになれば、RとVが接続された事になります。

 

 

 

簡単の為に、6stepを考えてみましょう。

IGBT1がオンになり、続いてIGBT2がオンになり、更にIGBT3がオンになりと逐次切り替わります。この変化は出力側(インバータ側)の位相で変化します。IGBT4,IGBT5, IGBT6はIGBT1,IGBT2,IGBT3に対して180°遅れて動作します。

図中のIGBT1がオンになっている期間に注目してください。入力側はMode1, Mode2, Mode3, Mode4, Mode5と代わるので、U, V,W相と順次切り替わって接続されます。

IGBT2がオンの期間、入力側はMode5, Mode6, Mode1, Mode2 , Mode3と代わるので、W, U,Vと順次切り替わって接続されます。IGBT3, IGBT4, IGBT5, IGBT6も同じように切り替わり、関連するSW1~SW9にオン信号が投入される事となります。

この図では、出力周波数を入力周波数の1/2で描いていますが、出力周波数は任意ですので、その都度どのスイッチが接続されるか検討或いは計算される必要があります。

左図は、入力電圧と出力電圧の計算結果を表示したものです。

6stepでも三相の電圧はできますが、綺麗な波形とは言えません。

 

 

 

PWM制御を検討してみましょう。

直流電圧は、入力電源の位相と共に、左表のように変わります。

一般にPWM制御を行う時のDutyは Duty-R=(1+M*sin(θ2))/2 で示されますが、Vdcが入力側の位相で変化しますので、

Duty-R=(1+M*sin(θ2))/2*Vdc(min)/Vdc(θ1) とします。

ここで、Vdc(min)はθ1=30°の時の値ですから、Vp*3/2です。

同様に Duty-S=(1+M*sin(θ2-120°))/2*Vdc(min)/Vdc(θ1)

Duty-T=(1+M*sin(θ2-240°))/2*Vdc(min)/Vdc(θ1)    となります。

R相はDuty-Rの間P側に接続され、1-(Duty-R)の間N側に接続されます。

このDutyに電源電圧Vdc(θ1)を掛け算した結果を左記に示します。

当然ですが、数式の中のVdc(θ1)が消去されるので、インバータ側の位相に合わせ正弦波で変化する事になります。

 

 

6stepと同様にどのSWがオンになるか、そのDutyはどの程度なのか検討しました。左図を参照して下さい。出力周波数を入力周波数の1/2として計算しています。

 

 

 

 

 

左図は入出力電圧の波形を示したものです。相電圧の波形は綺麗な正弦波ではありませんでした。しかし、線間電圧は綺麗な正弦波です。これは、入力電源の接地(0V)端子と仮想インバータの0V地点との電位の違いであると解釈し、入力電圧の負の交差点と最小値を示す波形の差で補正したところ綺麗な正弦波(RB相電圧、SB相電圧、TB相電圧と表示)になりました。 これはこの制御方法では、入力電源の接地点と仮想インバータの接地点が同電位ではない事を示します。

 

 

ベクトル制御でも検討してみました。

 

左図は、ベクトル制御で必要なT1,T2,Tsの計算式とIGBT1, IGBT2, IGBT3のDutyの計算式を示しています。電圧型インバータの場合、直流電圧は一定ですが、マトリックスコンバータの場合、入力側の位相で変化するので、K1=Vdc(min)/Vdc(θ1)を乗算しています。

このDutyにVdc(θ1)を乗算したものが、仮想インバータの出力なので、電圧型インバータのベクトル制御と変わりありません。

 

 

 

切り替えのイメージ図は、左記のようになります。

 

PWM制御と同様に、相電圧の波形は綺麗な形ではありませんでした。

しかし、線間電圧は綺麗な正弦波です。入力電圧の負の交差点と最小値を示す波形の差で補正したところ綺麗な ベクトル制御の波形(RB相電圧、SB相電圧、TB相電圧と表示)になりました。

 

 

以上

 

 

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