パワーエレクトロニクスの基本(2)AC-DCコンバータ

パワーエレクトロニクスの基本として、AC-DCコンバータを紹介します。AC-DCコンバータの種類としては、主に6種類の回路があります。そして、DC出力を安定する方法として3種類あります。

6種類の回路とは、1.整流回路  2.倍電圧整流回路    3.三相整流回路 4.位相制御(サイリスタ) 5.PFC回路 6.昇圧整流回路 となります。

位相制御と昇圧整流回路には、単相と三相の両方があります。

DC出力を安定化する三つの方法とは、a.ツエナーダイオードによる方法、b.トランジスタ(又は電源用IC)による方法、c.DC-DCコンバータによる方法です。

***** 1.整流回路 *****

整流回路(ダイオード4個からなる回路)の入力端子の左側が、平滑コンデンサ(C1)の電圧よりも高くなると、D1,D4を通じて平滑コンデンサ(C1)を充電します。電圧が下がると充電は停止します。

電圧が反転して、整流回路の入力端子の右側が平滑コンデンサの電圧よりも高くなると、D3,D2を通じて平滑コンデンサを充電します。この平滑コンデンサのリップルが大きくて電流があまり大きくない場合は、ツエナーダイオードで直流電圧をクランプし、出力電圧を供給します。

左図は、各部の波形です。最初の充電電流で共振して充電し、その後は電源電圧が平滑コンデンサの電圧を超えた時に充電しています。(電源電圧が高いほど共振電圧は高くなるので、角度の90°からスタートさせています。)ツエナーダイオードには許容損失がありますので、抵抗R1に通電できる電流に限界があります。また損失は無負荷の時に最大となります。Vc1は整流され平滑コンデンサC1に充電された波形。Vc2はツエナーダイオードと並列に接続されたコンデンサの電圧です。上記波形は、下記条件で計算しました。

入力電圧=100Vac, トランス巻き数比=4:1, ダイオードのVf=0.7V, 平滑墾田の容量C1=1000uF, 電流制限抵抗R1=30Ω、ツエナーダイオードの電圧ZD1=24V, 電源周波数=50Hz, トランス短絡インダクタンス=5mH, 出力用平滑コンデンサ=100uF, 負荷抵抗=200Ω (ツエナーダイオードの許容損失は10Wを想定しています。) ツエナーダイオードの許容損失が1Wの場合、R1=300Ω、RL>2kΩとなります。

出力電流を増加する為にトランジスタを追加すると、回路は左図のようになります。

抵抗R1の電流がツエナーダイオードに流入する事に変わりはありませんが、出力には、この電流をベース電流として増幅された電流が流れます。従ってトランジスタQ1の増幅率(hFE)が10であれば、10倍の電流を負荷に供給出来る事になります。

左図は、各部の波形です。

最初の充電電流で共振して充電し、その後は電源電圧が平滑コンデンサの電圧を超えた時に充電しています。(電源電圧が高いほど共振電圧は高くなるので、角度の90°からスタートさせています。)ツエナーダイオードには許容損失がありますので、抵抗R1に通電できる電流に限界があります。また損失は無負荷の時に最大となります。上記波形は、次の条件で計算しました。

入力電圧=100Vac, トランス巻き数比=4:1, ダイオードのVf=0.7V, 平滑コンデンサの容量C1=1000uF, 電流制限抵抗R1=30Ω、ツエナーダイオードのツエナー電圧ZD1=24V, 電源周波数=50Hz, トランス短絡インダクタンス=5mH, 出力用平滑コンデンサ=100uF, 負荷抵抗=30Ω, トランジスタの増幅率=10, トランジスタのベース・エミッタ間電圧Vbe=0.7V (ツエナーダイオードの許容損失は10Wを想定しています。) ツエナーダイオードの許容損失が1Wの場合、R1=300Ω、RL>300Ωとなります。

ツエナーダイオードも、トランジスタ(又は線形動作の電源IC)は出力電圧を綺麗に平滑化しますが、損失が多く効率的ではありません。そこで利用されるのが、既に学んだDC-DCコンバータ(又はスイッチングタイプの電源IC)です。

***** 2.倍電圧整流 *****

交流電圧のピーク値は入力電圧の1.414倍です。平均値は、全波整流が2/3.14倍、半波整流が1/3.14倍です。負荷が軽い場合は、左図のような回路を組めば、2*1.414倍まで充電できます。即ち全波整流回路の2倍の電圧を得る事が出来るのです。

 

制御機器を200Vac用で設計し、入力端子を左図のように設定すれば、コンセントの接続を変更するのみで、同じ機器を採用する事ができます。

 

 

***** 3.三相整流回路 *****

三相の電源には、同じ交流電圧で位相が120°異なる波形が供給されています。例えばU相を基準にすると、V相は120°遅れ、W相は240°遅れます。

式で示すと相電圧は Vu=Vp*sin(ωt), Vv=Vp*sin(ωt-120),Vw=Vp*sin(ωt-240) で示されます。

 

図で示すと左記のようになります。従って 0~30°はD3~D5, 30~90°はD1~D5, 90~150°はD1~D6, 150~210°はD2~D6, 210~270°はD2~D4, 270~330°はD3~D4, 330~390°はD3~D5 のダイオードを通電する事になります。

線間電圧は、Vu-Vv=Vp*(sin(ωt)-sin(ωt-120))

=Vp*(cos(ωt-60)*2*sin(60)) =1.732*Vp*cos(ωt-60)   となります。

線間電圧をVp2で示すとその波形は、 Vuv=Vp2*cos(ωt-60)となります。

平均値は Vav=12/(2*3.14 )*

=6/3.14*Vp2*1/2=3/3.14*Vp2

即ち、線間電圧のピーク値の0.955倍、実効値の1.35倍 となります。

電源がU相の位相角0°で投入されたとすると、その時一番高い電圧はW相であり、一番低い相は、V相なので、ダイオードD3及びD5を通して 平滑コンデンサに充電されます。この時トランスの短絡インダクタンスと平滑コンデンサで共振を起こし、回路定数によってはピーク電源電圧の二倍の値まで充電する事があります。

 

 

左図では、線間電圧200Vrmsの電源に対し、ピーク電圧の282Vではなく、約450Vまで充電されています。これは、入力の電圧と平滑コンデンサが共振現象を起こすために発生するものです。

 

 

時間が30°を過ぎると、U相の電圧が最も高くなり、V相の電圧が最も低くなります。しかし、トランスのインダクタンスは電流を継続して通電使用とするので、ダイオードD3とD5は電流が流れ続けようとします。そこでダイオードD3の電流がゼロになるまでは、U相からW相に向けてトランスの短絡インピーダンスで制限される電流が通電されます。(上図のIL1の30°以降の波形参照)ダイオードD3の電流がゼロになれば、ダイオードD1から平滑コンデンサを充電するように電流が流れます。(上図IL1の約41°以降の波形参照)

ところが、トランスの短絡インダクタンスと平滑コンデンサは共振を起こしており、コンデンサの電圧が高くなって、電流がゼロになると、ダイオードD1,D5の通電も停止してしまいます。(上図IL3の約44°までを参照)

平滑コンデンサの電圧が電源電圧よりも低くなるまで、充電は停止します。約55°になると、平滑コンデンサの電圧が電源電圧よりも低くなるので、充電を再開します。(左図の約55°から90°を参照)

 

 

時間が90°になると、今度はV相ではなく、W相の電圧が最も低くなります。従って平滑コンデンサを充電する電流は、ダイオードD1,D5を通電していますが、V相とW相をトランスの短絡インピーダンスで短絡するような電流が通電します。

 

 

(左図の90°から約110°を参照)

ダイオードD5の電流がゼロになると、ダイオードD1とD3の電流が平滑コンデンサを充電するようになります。(左図の110°から150°を参照)

 

時間が150°になると、今度はU相ではなく、V相の電圧が最も高くなります。従って平滑コンデンサを充電する電流は、ダイオードD1,D6を通電していますが、V相とU相をトランスの短絡インピーダンスで短絡するような電流が通電します。

 

 

(左図の150°から160°を参照)

U相の電流(左図のIL1)がゼロになると、ダイオードD2とD6(左図の緑と紫)が平滑コンデンサを充電する事になります。

 

 

 

時間が210°になると、今度はW相ではなく、U相の電圧が最も低くなります。従って平滑コンデンサを充電する電流は、ダイオードD3D6を通電していますが、W相とU相をトランスの短絡インピーダンスで短絡するような電流が通電します。

(左図の210°から220°参照)

W相の電流がゼロになると、ダイオードD2,D4が平滑コンデンサを充電する事になります。220°近辺では、充電電流が負荷抵抗を通電する電流よりも少ないので、平滑コンデンサの電圧は低下していますが、充電電流が負荷電流よりも大きくなると平滑コンデンサの電圧も上昇するようになります。

このような動作を繰り返して、負荷に電力を供給します。

 

 

 

上記波形は、電源電圧=200Varm, トランス短絡インピーダンス=200uH(各端子毎)、周波数=50Hz, ダイオード電圧降下(=Vf)=0.7V, 負荷抵抗=2Ω、平滑コンデンサ=1000uFで計算したものですが、

負荷抵抗を10Ωに(軽く)すると左図の様に、共振電圧は高くなり、コンデンサの充電電流は間欠的になります。

 

 

 

***** 4.位相制御 *****

ダイオードの代わりにサイリスタを使用すると、出力電圧を任意の値に設定する事ができます。サイリスタとは、ゲート信号を与えると通電を開始し、電流がゼロになると、通電が停止する半導体です。但し電流が流れ続けるためには一定の電流(保持電流)以上の通電が必要です。但し、逆方向には電流が流れません。逆方向にも電流を流したい場合は、トライアックという半導体を利用します。

ゲート信号を与えるタイミングは、通常導通角度で表示します。導通角度180°では、位相ゼロのタイミングでゲート信号を発生し、導通角度30°では、位相150°のタイミングでゲート信号を発生します。

 

 

すると整流された電圧は左図のようになります。

(イメージ図)

 

 

 

抵抗負荷ではなく。左図のように容量負荷の場合は、

 

 

 

左図のように電源電圧が平滑コンデンサの電圧より高い場合にのみ充電電流が通電し

 

 

 

左図のように平滑コンデンサの値を制御します。

導通角度が小さい時は出力電圧を低く制御でき、コンデンサの充電電圧のオーバシュートは、少ない値に抑制されます。導通角度が大きい場合は、ダイオードと同じになります。即ち、電源の起動時に導通角度を徐々に広げれば、過電圧の発生を抑制して運電ができるのです。

誘導負荷の場合は、負荷電流がフリーフォイルダイオードを通電するように、ブリッジ回路と並列にダイオードを配置します。

 

 

前述は、ブリッジ回路を4個のサイリスタを利用して説明しましたが、左図のようにダイオードとの混合ブリッジを利用する事もできます。

 

 

容量負荷でも同様です。

誘導負荷の場合は、回路構成を左図のように変更し、D1,D2が整流用のダイオードとしても、フリーフォイル用のダイオードとしても動作するように配置します。

 

 

三相の場合は少し様子が異なります。

ハイサイドには三個のサイリスタがあるので、各サイリスタの通電時間はディユーティが三分の一です。

ローサイドも同様です。

 

 

各サイリスタには60°の通電を二回与えます。

例えばU相のサイリスタ(Th1)の場合、Th1とTh5にオン信号を供給し、60°遅れてTh1とTh6にオン信号を供給します。続いてV相のTh2とTh6及びTh2とTh4といった具合です。このオン信号のパルス幅は、負荷に依って異なります。前述のような抵抗負荷の場合は、オン信号の発生のタイミングから約100us程度です。正確には、サイリスタの通電電流がラッチング電流以上となるまでです。

誘導性負荷の場合は、文字通り通電電流がラッチング電流以上となるまで供給します。

 

 

 

 

 

但し、容量負荷の場合は、ゲート信号を供給した時に、電源電圧が平滑コンデンサの電圧よりも高いとは限らないので、充電期間はゲート信号を供給するようにします。

 

 

 

例えば、U相の電圧を基準にして、30°から140°の位相制御をすると、整流電圧は、左図のように変化します。時間はU相の角度で示しています。

 

 

 

平滑コンデンサへの充電電流は、左図のように位相が進んでいると多くの充電電流が流れ、位相が遅れると充電電流が少なくなります。

 

 

充電電圧は、位相が進んでいると共振で高い電圧にまで、充電してしまいますが、位相が遅れていると、充電電圧もあまり高くなりません。

即ち、位相が遅れている状態で充電を開始し、徐々に位相を進ませて、必要な充電電圧となるように制御すれば、突入電流が少なく、サージ電圧の少ない回路を構成出来る事になります。

混合ブリッジの場合も、ゲート信号により、通電時間を制御でます。

 

 

 

左図は、サイリスタのオンのタイミングとダイオードの通電のタイミングを示したものです。サイリスタはオン状態になるタイミングを制御できますが、ダイオードは制御できません。

 

 

出力電圧は、左図のようになります。電圧波形の面積は十分制御されており、抵抗負荷の電力制御としては十分です。

 

 

 

誘導負荷の場合は、還流用のフリーフォイルダイオードが必要となります。

 

 

 

容量負荷の場合は、位相制御による、整流電圧のピーク値があまり下がらず、ソフトスタートとして利用できないので、あまり有効とは言えません。

 

 

 

***** 5.PFC制御 *****

容量負荷の整流回路では、電源電圧が平滑コンデンサの電圧よりも高くなった時に充電し、充電電流がゼロになると充電は終了します。入力電圧が正弦波の場合、電圧がピーク値に近い時にのみ通電される事となり、電力効率が良くありません。PFC Power Factor Correction)回路とは、平滑コンデンサへの電源からの充電電流の波形を電源電圧の波形に近付けようとするものです。

例えば左図のような一石のPFC回路を考えます。

整流した電圧波形をVDeで検出し、電源から供給される電流をIdeで検出するものとします。

 

VDeから通電したい電流の波形(絶対値を含む)を作ります。この作った電流波形からオフ信号発生用の電流波形を作ります。(左図では1.1倍としました。)オン信号発生用の電流波形も作成します。(左図では、0.9倍としました。)Ideは検出信号がMOSFETのソース点に対して負の値になっているので、反転回路を入れます。(必要ならば、増幅回路も入れます。)この電流がオフ信号発生用の電流値よりも超えた時、LからHに切り替わる信号を作ります。また、この電流がオン信号発生用の電流値よりも低くなった時、LからHに切り替わる信号を作ります。D型フリップフロップを利用して、これらを立ち上がりのクロック信号とし、MOSFETのオン/オフ信号を作成します。別途、PFC動作のオン/オフ信号を作成し、PFC動作信号がオンの時でフリップフロップからMOSFETのオン信号が発生している時、主回路のMOSFETを駆動します。

左図は、上記の回路を、入力電圧=100Vac、インダクタンスL1=3mH、MOSFETオン抵抗=1Ω、ダイオードVf=0.7V、平滑コンデンサ容量=500uF、負荷抵抗=50Ω、電源周波数=50Hz、力電流ピーク値=6A, ターンオフ検出電流=1.1倍、ターンオン検出電流=0.9倍として計算した波形です。

電源投入時は、平滑コンデンサの充電電流が通電し、PFC回路は正常に動作しません。平滑コンデンサの直流電圧(=出力電圧)は、入力電流に依存します。出力電圧を一定の値に設定するには、入力電流の値を調整するか又は一定の値に上昇したらPFC動作を停止し、一定の値に下降したらPFC動作を再スタートさせる事が必要です。この場合、平滑コンデンサには既に電荷が充電されているので、大きな突入電流が流れる事はありません。

左図は5サイクル目の波形です。ほぼ飽和状態にあり、電流も6Aピークの正弦波を中心に連続モード(CCM:Continuous Current Mode)で動作しています。

 

 

MOSFETの動作を停止させると、左図のようにダイオードによる整流波形となります。

平均電圧は、電源電圧のピーク値よりも低いので、電源電圧が平滑コンデンサの電圧よりも高くなった時に充電し、低くなった時に充電が停止します。

 

上記の条件(6Aピークの正弦波)でターンオフ用の制限電流を2倍、ターンオン用の制限電流を+0倍とすると、左記のように臨界モード(BCM:Boundary Current Mode)の波形が得られます。

 

 

臨界モードでは、0Aターンオンになっているので、ターンオン損失が少ないというメリットがあります。(ターンオフ損失はターンオフする電流が二倍になっているので増加します。)スイッチング周波数が連続モードよりも少なくなっているので、合計のスイッチング損失は減るかもしれません。低い周波数の高調波が発生しています。

 

左図は、スイッチング素子を二個使用した場合のPFC回路です。入力電圧が正の時に、MOSFET(Q1)を駆動して電流検出器(SH1)とMOSFET(Q2)のボディダイオードに通電します。MOSFET(Q1)がオフの時はダイオード(D1)を通して平滑コンデンサ(C1)に充電します。入力電圧が負の場合には、MOSFET(Q2)を駆動して同様に行います。一石の方式に比べ、電圧検出器が二つ、電流検出器も二つとなりますが、電流制限用のインダクタンスは、トランスの短絡インピーダンスを使用する事ができるので、主回路そのものは、単純になります。

左図はその電源投入時の波形です。電源投入時に平滑コンデンサを充電するための突入電流が流れています。

 

 

 

左図は、飽和時の波形です。6A設定で、50Ω負荷の時約150VDCとなっています。一石と同様、定電圧制御をするには、電流設定を調節するか、又は出力電圧を検出してPFC動作のオン/オフを行う必要があります。ここで、一石の場合と同様に、入力電圧=100Vac、トランス二次短絡インダクタンスL1=3mH、MOSFETオン抵抗=1Ω、ダイオードのVf=0.7V、平滑コンデンサ容量=500uF、負荷抵抗=50Ω, 電源周波数=50Hz,入力電流ピーク値=6A, ターンオフ検出電流=1.1倍、ターンオン検出電流=0.9倍として計算しました。

***** 6.昇圧整流回路 *****

整流回路は、トランスの巻き数比で一定の電圧になるように設定して整流します。

PFC回路は、電流波形を正弦波に近づけるように制御し、出力電圧は負荷によって決まります。出力電圧を一定に保つには、電流値を調整する必要があります。

昇圧回路は、トランスの短絡インピーダンス又はインダクタンスを利用して、電源電圧よりも高い定電圧電源を作成します。

左図で動作原理を説明します。主回路は、二石のPFC回路と同様です。

但し、電流での設定は行いません。

AC電源を短時間のDC電源と見なし、スイッチング素子のオン時間を左図のようなシーケンスで決定し、MOSFETを駆動します。電源電圧が正(VDe1が正)の時にMOSFET(Q1)にオン/オフ信号を与えます。オンの時はQ1とQ2のボディダイオード(赤色の→のルート)を通電し、電源を短絡インピーダンスで短絡するように動作します。Q1にオフ信号を与えると、電流はダイオードD1,平滑コンデンサC1,Q2のボディダイオード(青色の→のルート)を通電し、平滑コンデンサC1を充電して負荷にも電力を供給します。平滑コンデンサの電圧が電源電圧よりも低い時、平滑コンデンサ充電中であっても電流は増加します。平滑コンデンサの電圧が電源電圧よりも高くなると、充電中に電流が減少し、電圧差が少ない時電流は連続ですが、電圧差が大きいと(電源電圧が低いと)電流の減少率が急になり、電流が一旦ゼロになる事もあります。

左図は電源投入時の波形です。正の電圧が終わっても、正の電流は残っており、[Vc1(平滑電電さの電圧)―Vac(負の電圧)]を短絡インダクタンスで除算した傾きで減少します。

 

この時は、左図の緑色の→のように電流が流れるので、電源電圧が負になって、Q2にオン/オフ信号が供給されても、Q2のボディダイオードを通電します。電流がゼロになって反転するとMOSFET(Q2)の制御を受ける事になります。但し、平滑コンデンサの充電電圧が高く、MOSFET(Q2)を通電する電流はオフ時の逆バイアスにより直ぐにゼロとなってしまいます。この現象は平滑コンデンサの電荷が負荷に依って消費され、電圧が設定の電圧に智かずくまで続きます。

平滑コンデンサの電圧が設定値(左図では160V)に近づくとMOSFETのオン・オフ信号が有効に動作し、左図のような交流電流で平滑コンデンサを充電するようになります。この図ではMOSFETのオンディユーティを

で計算しています。

負荷抵抗を変更せずに設定電圧のみ200Vに上昇すると左図のようになります。これは、出力電流に対し、トランスの短絡インピーダンスが大きすぎる現象ですので、低減すれば波形の遅れが少なくなります。

ここで、波形は入力電圧=100Vac, トランス短絡インピーダンスL1=3mH, MOSFETオン抵抗Rds(ON)=0.1Ω、 ダイオードVf=0.7V, 平滑コンデンサC1=500uF, 負荷抵抗=100Ω、電源周波数=50Hz, キャリア周波数fc=18kHz, 出力電圧=160Vdc又は200Vdcで算出しました。

左図は、三相での昇圧回路です。

Mode1(30~90°)の場合は、ダイオードD1からMOSFET(Q2)に電流が流れようとします。そこで、Q1にスイッチング信号を与え、オンの時はU相とV相を短絡するように、オフの時は、D1とQ2のボディダイオード(BD)を通じて平滑コンデンサを充電するようにします。

 

 

 

 

Mode2(90~150°)の場合は、ダイオードD1からMOSFET(Q3)を電流が流れるようになりますが、スイッチングデバイスはQ1のままで、U相とW相を短絡するように動作させます。

 

同様にMode3, 4, Mode5,6を駆動すると、各部の電圧、電流波形は左図のようになります。

三相の入力電圧に対し、整流電圧は、線間電圧となるので、そのピーク値は1.732倍になります。左図では、入力電圧と表記しています。昇圧回路ですので、出力電圧の設定は、この値より大きくなければなりません。計算では350Vとしました。電源を投入すると、ピーク値の大きな充電電流が通電します。(左図では約800A)この時共振を起こしますので、平滑コンデンサの充電電圧も高くなります。(左図では約700V)負荷により、平滑コンデンサの電圧が低下すると、正常な定常状態の動作になります。

出力電圧は約350Vに設定され、各相に矩形波と正弦波が重ねられたような波形で電流が通電されます。なお、計算では、入力(相)電圧=130Vac, トランス短絡インピーダンス=100uH,MOSFETのオン抵抗Rds(ON)=0.1V, ダイオード及びボディダイオードのVf=0.7V, 平滑コンデンサの容量C1=1000uF, 負荷抵抗RL=20Ω、電源周波数=50Hz, スイッチング周波数=18kHz, 出力電圧の設定Vout=350V, Dutyの計算式は としました。電源の投入のタイミングはU相電圧の30°としています。また、単相の場合に比べ、トランス短絡インピーダンスを小さくし、負荷抵抗を小さくしています。この回路では、ハイサイドの3個をダイオード、ローサイドの3個をMOSFETとしていますが、波形より6個のMOSFETでも駆動できることが容易に推定されます。

 

 

 

 

 

この場合は、左の表のようなタイミングで6個のスイッチング素子を駆動し、各々のボディダイオード(BD)に通電する事になります。

IGBTを利用する場合は、ボディダイオード(BD)ではなく内蔵されているフリーフォイルダイオード(FRD)という事になります。

以上

一休み

AC-DCコンバータでは、電源投入時に大きな突入電流を通電する事になりますが、電流制限抵抗を通じて、予め目標値に近い電圧に充電すれば入力電圧との電圧差が少なくなるので、平滑コンデンサへの過充電も減少し、安全な設計が可能となります。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA