SiCMOSFETモジュール開発のために(4)

SiCMOSFETモジュール開発のために(4)

短絡保護の方法は、短絡電流を検出して保護動作に入る方法と、電流の代わりにVdsを測定して、Vdsの値から短絡状態が発生したと判断して保護動作に入る方法があります。

  1. 短絡電流を検出して保護動作に入る方法

左図に動作原理を示します。

SiC MOSFETのソースとVSS3の間に短絡電流検出用のシャント抵抗R1を挿入します。

シャント抵抗の電圧降下がトランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧(約0.7V)を超えると、トランジスタQ1にベース電流が通電し、コンデンサC1の電荷を放電します。コンデンサC1の電圧がツエナーダイオードZD1よりも低くなると、トランジスタQ2のベース電流が供給されなくなるので、トランジスタQ2のコレクタはハイレベル(VDD2)になります。この信号を増幅して一つは制御側に過電流が発生した事をフォトカプラを通して連絡します。信号が来るとEnable1信号がローレベルになるので、他のアームのオン信号を停止します。

もう一方は信号を反転して自分自身のオン信号を停止し、ターンオフの動作に入ります。

過電流検出から、オン信号をオフ信号に切り替えるまでの時間は、SiCMOSFETが破損してしまう時間以内でなければなりません。

過電流によるオフ信号の時間は抵抗R2とコンデンサC1で決まります。

過電流が停止するとトランジスタQ1のベース電流がなくなるので、トランジスタQ1の蓄積時間(tstg)が過ぎるとコンデンサC1の放電が停止します。抵抗R2の電流はトランジスタQ1を通電していたのですが、コンデンサC1を充電する事になります。コンデンサC1の充電電圧がZD1を超えると、トランジスタQ2のベースに電流が流れ、コレクタ電位が下がって、過電流検出信号が停止します。

またゲート抵抗Rg(off)はSiCMOSFETが(定格を超えた)短絡電流をターンオフしても破損しないように、選定します。

休止期間が短いとキャリア周波数で短絡電流が通電します。保護回路が動作してもターンオフ損失が大きくて温度上昇により破損するかも知れません。十分余裕のある休止期間を設定して下さい。

インバータ装置の出力端子短絡、ハイサイドのSiCMOSFET又はSBDが破損した場合は、すぐに再起動せずに、短絡原因を除去してから再起動して下さい。

2. Vdsを検出して保護動作に入る方法

CreeのC2M0025120D(SiCMOSFET)とBROADCOMのACPL-337J(保護回路付カプラドライバ)を例に説明します。

ゲート駆動電圧は、VGS=+20V/-5Vです。

推奨のゲート抵抗は2.5Ωですが、内部抵抗が1.1Ωありますので、7A以上の通電能力が必要です。

保護回路付カプラ(ACPL-337)の出力電流の定格が4Aなので、ゲート抵抗を5Ωとします。

DESAT検出用にRDESAT=1kΩとDDESATを挿入し、マスク時間用にCBLANK=220pFを挿入します。

カプラ内部のDESAT検出用定電流電源の電流値が1mAとなっています。

オフ信号が出ている時は、内部のMOSFETで0V=VEにクランプされています。

オン信号が入ると、この内部のMOSFETはオフ状態となり、CBLANK=220pF を充電します。7V充電するには、1.5usかかります。

途中で、SiC MOSFETがオンになると、充電電流は、RDESAとDDESATを経由してSiC MOSFETに流れ込み、放電するようになります。これが正常運転です。

SiCMOSFETがオンにならないと、充電が継続し、充電電圧が内部の比較電圧(=7V)を超えると、オン信号を停止し、ソフトターンオフ回路が動作します。

SiCMOSFETのドレイン・ソース間電圧で表示すると、Vds(on)検出電圧は、7V-V(DDESAT)という事になります。

マスク時間(=ブランク時間)が長いので、外部に10mAの定電流回路を作成して対応します。

マスク時間(ブランク時間)を短くするには、左図のようにします。

トランジスタQ1, 抵抗R2, ダイオードD1とD2ベース電流用抵抗R1で10mAの定電流回路を構成します。この定電流回路のトランジスタ(Q1)のコレクタ端子をカプラドライバーのVDESAT端子に接続します。これで内部の定電流回路と一緒にブランク時間決定用のコンデンサを充電するようになります。

Voutにオフ信号が出ている時カプラ内部のMOSFET(VDESAT信号端子のすぐ左下)はVoutの反転信号が印加されており、内部定電流をVE端子に通電しています。

一方外部のトランジスタQ1のコレクタ端子は、MOSFET(Q3)により、オフ信号が出ている間は同じくVE端子に接続しています。(トランジスタQ2を利用)

ゲート信号が-5Vから-4.3VになるとトランジスタQ2はオンになり、MOSFET(Q3)をオフにする。それとほぼ同時にカプラ内部の定電流を通電しているMOSFETもオフになる。

従って二つの定電流は、ブランク用のコンデンサを充電する。

VDESATが7Vになるとゲート信号をオフにする機能に変わりはないので、充電時間のみが早くなって動作可能となる。

但し、10mAの定電流を通電するので、電源の損失が+20Vの場合には、0.2W増加します。

また、ゲート抵抗は、ソフトターンオフ用に改造する必要があります。

注意:データシートには、VDESAT>7Vを検出してからソフトターンオフを開始するまで1.3uS, ソフトターンオフが終了するまで4.8usと記載されています、SiCMOSFETの短絡許容時間が記載されていませんので、SiCMOSFETを本当に保護できるかどうか確認が必要です。

カプラドライバーは、保護回路が動作した場合、FAULT信号を出しますので、その信号を基に他アームのSiCMOSFETの駆動を停止します。

以上

以上でこのシリーズは終了です。質問のある方、他に掲載してほしい事項のある方ご連絡下さい。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA