SiCMOSFETモジュール開発のために(1)

SiCMOSFETモジュール開発のために(1)

まず考えるのは、応用回路です。

SiCMOSFETモジュールがIGBTモジュールよりもすぐれているのは、低電流で通電損失が少ない、スイッチング損失が少ないという点です。

その特長を生かせる回路を考えます。

自分で考える前に、今市場で販売されているSiCMOSFETモジュールの回路を見てみましょう。

  1. 2in1

最初の回路は、2in1です。単相インバータ、三相インバータ等幅広く採用されています。ゲート信号は、正弦波PWMで使用される事が多く、SBD通電中にMOSFETにオン信号を供給します。従ってMOSFETの特性によってはSBDよりもMOSFETに多くの電流を通電する事があります。しかし、ハイサイドとローサイドのどちらにも信号が供給されていない休止期間には、ボディダイオード(BD)を通電せずに、SBDを通電する事となります。従って、Eon, Err特性の優れたスイッチング素子を実現できます。UPSのような装置のフィルタ回路を小型化する場合に有効です。

2.2in1 w/o SBD

次は、SBDを持たない2in1回路です。動作は1.の2in1と同じですが、SBDがないので、休止期間中の逆方向電流は、ボディダイオード(BD)を通電します。BDはPN接合を形成しているので、BDの逆回復電流が流れ、BDのスイッチング損失が発生します。この損失を低減するには、逆回復電荷の少ないBDを持つMOSFETを開発するか又はターンオンのdi/dtを抑制して、Irrを減少させ、逆回復損失の少ない条件で使用します。di/dtを抑制するので、あまり高い周波数では使えない事になります。但し、IGBTと同程度の周波数で使うのであれば問題ありません。低電流で通電損失が少ないというメリットは出てきます。モータ制御のようにあまり高くない周波数で使用する場合に有効です。

3.LS SW

この回路は、2in1 w/o SBDの回路のローサイドはそのままに、ハイサイドをSBDとした回路です。昇圧チョッパの回路になっていますので、低い直流電圧から高い直流電圧を作る場合に使用します。ハイサイドにMOSFETが無いのでローサイドにのみオン信号を供給し、Dutyを可変して出力電圧を制御します。定電流用のインダクタンスを低減するのに有効です。(キャリア周波数を増加して、インダクタンスを小さくします。)

4.LS SWx2

この回路は、太陽光発電用のブースト回路で2回路入りです。

太陽光発電の電圧が高い場合は、MOSFETを使用せずに、そのまま出力電圧とし、太陽光発電の電圧が低い場合は、インダクタンスを介してMOSFETでスイッチングし、昇圧して出力電圧とする事が出来ます。2回路入っているので、MOSFETを交互にスイッチングさせて、マスタスレーブ方式で動作させる事が出来ます。

5. 2in1x3

この回路は、1.の 2in1を三個同一のパッケージに収めたものです。三回路入っていますので、当然三相用となります。

6. 6in1 w/o SBD

この回路は、2.の 2in1 w/o SBDを三個同一のパッケージに収めP, Nの電極をそれぞれ一つに纏めたものです。SBDがありませんので、三相モータ制御用となります。

7. 3L-I

この回路は、10,11,12番端子をVDDとし、18,19,20番端子をVSSとし、31,32番端子を0Vとし、22,23番端子を出力(U,V又はW)とした、3レベル専用の一相分の回路です。単相電源を作るには2回路、三相電源を作るには3回路必要です。

Q1とQ2がオンの時、出力電圧はVDDとなります。

Q2のみがオンの時、出力電圧は0Vとなります。

Q3のみがオンの時も、出力電圧は0Vです。

Q3とQ4がオンの時、出力電圧はVSSとなります。

VDD=600V, VEE=-600Vの時、出力電圧は600Vpeakの交流電圧となります。

出力電圧が-600Vの時Q1とQ2の中点は0Vにクランプされているので、Q1が600V, Q2が600Vの電圧を負担します。

三相電源を作る時は、三個のモジュールを準備し、ゲート信号を120℃ずらします。

2レベルでは、VDD=600V, VEE=0Vの時、300Vpeakの交流電圧でしたので、同じMOSFETで3レベル回路を構成すれば、2倍の出力電圧を得られる事になります。

8. 3L-T with IGBT

この回路は、2,3番端子をVDDとし、23,24番端子をVSSとし、10,11番端子を0Vとし、6,7,8番端子を出力(U,V又はW)とした、3レベル用の一相分の回路です。

Q1とQ2が1200VのSiCMOSFET, Q3とQ4が600VのIGBTです。

単相電源を作るには2回路、三相電源を作るには3回路必要です。

Q1がオンの時、出力電圧はVDDとなります。

Q1がオフでQ3がオンの時、出力電圧は0Vとなります。

Q2がオフでQ4がオンの時も、出力電圧は0Vです。

Q2がオンの時、出力電圧はVSSとなります。

VDD=300V, VEE=-300Vの時、出力電圧は300Vpeakの交流電圧となります。

出力電圧が-300Vの時Q1には600Vの電圧が印加されます。

Q1はVDD=300Vからスイッチングし、Q2がスイッチングした時、印加電圧が300Vから600Vに振れるのです。

三相電源を作る時は、三個のモジュールを準備し、ゲート信号を120℃ずらします。

2レベルでは、VDD=600V, VEE=0Vの時、300Vpeakの交流電圧でしたので、同じMOSFETで3レベル回路を構成すれば、同じ出力電圧が得られます。但しスイッチング電圧が300Vになるので、スイッチング損失が約1/2に減少します。

 

 

 

 

 

 

 

 

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