セミナー(7/28)概要(第四部:展開)

セミナー(7/28)概要(第四部:展開)

1)オン信号入りダブルパルス

従来のダブルパルスは、Q1のゲート信号をオフの状態にしたままで、Q2にゲート信号を供給するものでした。

還流電流がFWDのみを通電する場合は、これで良いのですが、スイッチング素子がMOSFETの場合、先の正弦波PWMでも分かるように、FWDに電流が流れる時、MOSFETにオン信号が入っていてMOSFETのチャネルにもソースからドレイン方向に電流が流れ、休止期間の間BD又はSBDに移行し、Errが発生します。

そこで、反対アームのMOSFETにオン信号を入れるダブルパルスのソフトを開発しました。

通常のダブルパルスを発生させ、そのパルスから反対アーム用のパルスを作り、各々パルスの立ち上がりを休止期間の間だけ遅らせたものです。

そして、信号の送付先を選択ダイアルで設定するようにしてあります。

これにて、オンバイアスの有無による、スイッチング損失の差が確認できるのみでなく、

休止期間の設定を何nsにしたら、短絡電流が流れるか検証できます。

(NI sbRIO9696とNI9683を利用する場合は、25ns(=1/40MHz)間隔)

短絡電流が流れても破損しないゲート条件(Rg(ON)とRg(OFF))が見つかれば、後は、安心して保護回路の設計ができます。

2)正弦波PWM

LabVIEWで正弦波PWMの信号を作成しました。

一番上が出力周波数に対応した正弦波波形、

二番目がキャリア周波数に対応した三角波形

三番目が正弦波と三角波形とそれによるゲート信号、

四番目が、U相のP側とN側のゲート信号で、休止期間の確保されている事が確認できます。

勿論パソコンだけでなく、オシロスコープで実際に波形を確認する必要があります。

3)SiC MOSFETをインバータ回路に採用する場合の心構えです。

  1. データシートに記載されている特性データからインバータ回路に応用した時の損失を求めてみる。
  2. 評価用のインバータで素子の特性を評価し、データシートとの差異を認識する。
  3. 適切な休止期間を設定する。
  4. 正弦波PWMまたは実際に使用する制御方法で損失、温度を計算してみる。
  5. インバータ運転を実施し、設計に間違いの無いことを確認する。
  6. 温度上昇が予想外の場合は対策を打つ
  7. 必要であれば保護回路を追加

4)保護回路の説明に入ります。

  1. 過電圧保護。

スナバーコンデンサーで過電圧とならないようにドレイン・ソース間電圧を抑制する。

 

 

 

 

特性の詳細は、下記のコンデンサーメーカのWebを参照して下さい。

TDK

https://product.tdk.com/info/ja/products/capacitor/film/mkp_mfp/index.htm

https://www.epcos.co.jp/epcos-ja/1279064/products/product-catalog/ceramic-capacitors/ceralink-capacitors/ceralink-presentation—overview

Vishay

https://www.vishay.com/capacitors/film/dc-link/

岡谷電機産業

https://www.okayaelec.co.jp/products/search/index.php/search?

日本ケミコン

http://www.chemi-con.co.jp/catalog/film.html

ニチコン

http://www.nichicon.co.jp/products/film/default.htm

2.過電流保護

2a. 過負荷による過電流

電流を検出して、変調率を可変し、定格負荷電流となるように制御します。

● 電流検出用CT

 

 

 

 

 

● 電流検出用シャントと絶縁アンプ

15kW SiC MOSFETインバータでは10mΩを使用しました。

絶縁アンプはBRODCOMが提供しています。+/-200mV入力用を利用しました。詳細は、下記Web参照

https://jp.broadcom.com/products/optocouplers/industrial-plastic/isolation-amplifiers-modulators/

 

2b.モータロックによる過電流

負荷電流が過負荷定格を超えた事を検出し、MOSFETの定格電流を超えないようにオフ信号を供給します。

高速で応答するCTまたは、絶縁アンプを利用します。

使用する部品は、2a.の高速応答品となります。

2c.地絡による過電流

複数の配線が地絡した場合、回路が短絡されて短絡電流が通電します。

この時は、ローサイド側のSiC MOSFETの電流を測定して全てのSiC MOSFETの信号をオフにします。

この時、SiC MOSFETが過電圧破壊とならないように、ソフトターンオフをさせる必要があります。

(ソフトターンオフをさせるには、事前に短絡電流を通電しても破損しない、ゲート抵抗値を求めておく必要があります。)

破損しない条件でターンオフする必要があります。

(短絡電流は、オンバイアス付のダブルパルスで休止期間を短くして発生させる事ができます。)

(ハイサイドのSiC MOSFETを短絡し、ローサイドのSiC MOSFETに短い(1us程度)のパルスを印加しても短絡電流を発生させる事ができます。)

2d.休止期間不足による過電流

休止期間が足りない場合、或いは一素子が破損した場合。短絡電流は、地絡による電流よりも急速に増加します。

前述と同様に、シャント抵抗で電流検出を行うか、SiC MOSFETのVdsを検出して、高速、かつSiC MOSFETを破損させないようにターンオフする必要があります。

SiC MOSFETが破損していない場合、休止期間の設定に原因があれば、設定値に余裕を持たせて、運転を再開する事が出来ます。

2d1a.短絡電流検出保護回路例(常時ソフトターンオフ)

シャント抵抗R1で短絡電流を検出し、トランジスタQ1が動作して、コンデンサC1の電荷を放電させます。

するとトランジスタQ2のベース電流が無くなり、コレクタレベルがHとなります。

これを短絡信号として、入力信号をオフ信号とし、カプラを経由して他のアームのゲート信号もオフにします。

 

2d1b.短絡電流検出保護回路例(短絡時ソフトターンオフ)

過電流になっていない時、トランジスタQ2のコレクタはLレベルなので、トランジスタQ3のベースには電流が流れています。

トランジスタQ3のコレクタ電流はトランジスタQ4のベース電流を供給し、トランジスタQ4で抵抗RG(off)を短絡します。

従って通常はオンもオフも同じ抵抗RG(on)を使います。過電流になるとトランジスタQ4のベース電流が無くなり、オフの場合には、抵抗としてRG(on)+RG(off)を使用する事になります。このRG(off)がソフトターンオフ用の抵抗という事になります。

2d2.Vds短絡検出保護回路例

左図は、短絡電流を検出せず、Vds(ON)を検出して短絡電流が流れていると判断する回路です。

図のようにSiC MOSFETの駆動電源とSiC MOSFETのドレインとの間にダイオードD1を接続します。ドレイン電圧が駆動電源よりも高い場合、ダイオードには電流が流れません。

Vdsが駆動電源よりも低くなると、ダイオードD1に電流が流れます。

これがトランジスタQ1のベース電流となり、抵抗R2に電圧降下を発生させるので、その電圧からSiC MOSFETがオン状態になった事を検出します。

検出した時間がマスク時間より短い場合は、短絡電流が流れておらす正常にターンオンしたと判断してオン信号を継続します。マスク時間内にオン状態にならない場合は、短絡電流が通電していると判断して、オン信号を停止します。

マスク時間は、ボディダイオードの逆回復電流、Cds充電電流を短絡電流と誤判定しないように長く設定し、SiC MOSFETが破損しないように短く設定します。

RG(off) (図ではRG(on)と同じ)は短絡電流をターンオフしてもSiC MOSFETが破損しないように、設定します。(ターンオフ時のサージ電圧が大きくならないようにRG(off)を大きく、Eoffで破損しないようにRG(off)を小さく)

3.温度保護

温度保護は、サーミスタで行うのが一般的になっています。

5)保護回路内臓のSiC MOSFETドライバー

  • BROADCOMは、カプラ絶縁ですが、短絡電流をVdsで検出するタイプの保護回路を内蔵したドライバーを有しています。
  • 田村電機は、トランス絶縁で短絡電流をVdsで検出するタイプの保護回路を内蔵した2in1タイプのドライバーを有しています。

6)その他

  • TIのSiC MOSFETドライバー

絶縁バリアを使用した2in1のドライバーを持っています。

   ブーストアップ回路を使用していますので、一電源タイプのSiC MOSFETを駆動する事を目標としています。保護回路は内蔵していません。

  • InfineonのSiC MOSFETドライバー

コアレストランスフォーマーを利用した2in1のドライバーを持っています。ブーストアップ回路を使用していますので、一電源タイプのSiC MOSFETを駆動する事を目標としています。ブーストアップ回路用に不足電圧保護を内蔵していますが、短絡電流の保護は入っていません。

  • BROADCOMの絶縁アンプ。

電流検出用ですが、入力電圧が50mVMAXなので、従来の200mVMAXに比べ1/4の損失ですみます。電流増幅にΔΣ変換を利用しているので、電圧が小さくても誤差が少ないという特徴をもっています。そして出力はアナログ信号では無くディジタル信号になっているので、制御回路へA/D変換を使うことなく、送信できます。

以上

補足:回路例は、動作原理を示す物です。特許については、自己責任で対応下さい。

 

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