セミナー(7/28)概要(第三部:15kW SiC MOSFETインバータ)

次に弊社で開発した15KW SiC MOSFETインバータを紹介します。

最大入力電圧800Vdc, 入力電流18Adc, 制御電源5V, 制御電流1A, 出力電圧三相565Vac, 出力電流15Aac です。

写真には冷却ファンが見えませんが、連続運転の場合には、ファンで冷却する事が必要です。

この基板は、販売していますので、利用してみたい方は、下記にて見積りを要求して下さい。納期はその時の部品の在庫状況に依存します。

http://nsolution.co.jp/contact/

SiC MOSFETとSiC SBDは放熱フィンの上、基板の下となります。

左図は試作した、三相インバータのブロックダイアグラムです。

LabVIEWを内蔵したパソコンで正弦波PWMを発生するソフトを作り、NIの二枚の基板(sbRIO9606とNI9683)で電気信号に変換し、この電気信号を試作した基板でゲート信号に増幅してSiC MOSFETを駆動します。

 

 

NI基板で作成されたゲート信号は、SN74LS365ADの入力端子に接続されます。

このICは制御信号端子G1,G2がLレベルにならないと信号を出力端子に送りません。

従ってSiC MOSFETを駆動する事無く入力端子に正しい信号が来ているかどうか確認できます。

G1,G2がLレベルになると、カプラを駆動します。電流は信号側とCOM側の両方に200Ωの抵抗を入れて制限しています。

カプラの二次側には、絶縁された電源(RKZ-052005D)の+20V端子と-5V端子が接続されています。

カプラの出力端子には、オン用のゲート抵抗(5.1Ω)とオフ用のゲート抵抗(2.2Ω)が接続されて、SiC MOSFETのゲートに接続されています。MOSFETのゲート・ソース間には、過電圧防止用の24Vと5.1Vのツエナーダイオードが図のように接続されています。

ハイサイドとローサイドのSiC MOSFETの中間点と出力端子の間には、電流検出用の20mΩの抵抗が接続されています。カプラアンプの入力端子には、この両端の電圧が10Ωの抵抗を経由して接続されています。

カプラアンプの一次側電源は、U相駆動用の絶縁電源の+20V端子から5VのレギュレータICを使用して作ります。カプラアンプの二次側の電源は、5Vの制御電源そのものです。

カプラアンプACPL-C79Aの場合、入力+/-300mVに対して出力1.25V+/-1.25Vの出力信号(最大2.5V最小0V)を出します。

さらに、3.3V電源のオペアンプでセンター値を1.25Vから1.65Vに変換しています。

(検出電圧=1.65+/-1.25V)電圧信号を電流値に置き換えるのはパソコンで行います。(今回試作した基板やNI基板には内蔵されておりません)

直流電圧は6MΩと10kΩで約600:1に分圧しました。

カプラアンプの入力端子には、この分圧した電圧が接続されています。

シャットダウン端子は、COMレベルに接続します。

カプラアンプの一次側電源は、X相駆動用の絶縁電源の+20V端子から5VのレギュレータICを使用して作ります。ローサイド側ですから、X相でもY相でもZ相でも構いません。COM端子は、SiC MOSFETのソースに接続されており、主回路のCOMと共通です。カプラアンプの二次側の電源は、5Vの制御電源そのものです。

カプラアンプACPL-C87A0の場合、入力0~2.5Vに対して出力1.25V+/-1.25Vの出力信号(最大2.5V最小0V)を出します。

その他は電流検出と同じです。

次にSiC MOSFETの特性の評価について説明します。

この回路はダブルパルステストと呼ばれるものです。

Q2がSiC MOSFETとしての供試素子で、D1がSiC SBDとしての供試素子です。

まず、Q1に約100usのオン信号を与え、約100usオフ信号を与えて、再度約100usのオン信号を与えます。

すると、最初にハイサイドのMOSFETのCdsを充電する電流が流れ、続いて負荷インダクタンスで制限される電流が流れます。

SiC MOSFETをターンオフすると、負荷電流はダイオードD1を還流します。

負荷電流は、ダイオードの電圧降下が少ないので、殆ど電流が減少しません。再度オン信号を供給すると、ハイサイドのMOSFETのCdsを充電する電流のみならず、SiC MOSFETのBD(ボディダイオード)と、SiC SBDの逆回復電流も流れます。そして、再度負荷インダクタンスの電流が上昇します。通電時間が同じであれば最初の電流でICと言う電流をターンオフした場合、二回目の電流は二倍のICをターンオフする事になります。

通電時間がこのダブルパルスのみであれば、素子の温度上昇は殆どないので、

放熱フィンを付けなくても試験できます。右の写真を参照下さい。

次にダブルパルスの例を紹介します。

左図は、私がLabVIEWで作成した、ダブルパルス発生ソフトのHOST(パソコン)側の画面です。

パルスの数とオン時間とオフ時間と時間軸の単位と繰り返し時間を入力します。

本来は単一パルスですが、電流値の調整の為に、ゆっくりとした繰り返しで動作させています。この場合は1秒をセットしています。

本当に止めたい時は、停止ボタンを押します。

この切り替スイッチで、ダブルパルスを供給するMOSFETの位置を指定します。

そして、このトグルスイッチはゲート基板への出力を許可します。

画面は、オシロスコープの代用として、波形を表示させています。

正確なパルス幅は、実際にゲート・ソース間の電圧波形を測定して求める必要があります。

これはダブルパルスによる実際の測定結果です。

供試素子はCREEのC2M0025120DとC4D40120Dです。

試験条件は、Vcc=800V, Vgs=+20V/-5V, Rg(ON)=5Ω, Rg(OFF)=2.2Ω,負荷インダクタンス200uH, IL-50Aです。

もちろんILはオン信号のパルス幅で調整しました。

定格電流(50A)でのターンオン波形が左図です。SiC SBDの逆回復電荷は殆どなく、SiC MOSFETのBDに電流が流れていないので、逆回復電荷による電流の跳ね上がりは殆どありませんでした。

右図は、ターンオフ時の波形ですが、サージ電圧もわずか(100V程度)しかありませんでした。

配線に依る浮遊インダクタンスが少なく良い回路であると考えられます。

左図は定格電流を超えた状態でのターンオフ脳力を確認したものです。

オン時間を調整しダブルパルスの2発目の終わりを観測しています。

供試素子は同じくCREEのC2M0025120DとC4D40120D。

試験条件は、Vcc=900V, Vgs=+20V/-5V, Rg(ON)=5Ω, Rg(OFF)=2.2Ω,負荷インダクタンス200uHです。

ドレイン電流が120Aになっても、電圧のピーク値は1070Vであり、このゲート条件で破損しませんでした。

この過電流ターンオフの目的は、短絡電流をターンオフしてもSiC MOSFETが破損しない事を確認する事にあります。

SiC MOSFETが過電圧で破損する場合は、Rg(off)を大きくして、サージ電圧が定格以内に納まるようにします。 SiC MOSFETがターンオフ損失(Eoff)で破損する場合は、Rg(off)を小さくして、Eoffを減らします。

破損しない場合は、そのRg(off)を採用します。破損しないことの確認は実験だけでなく、実機にても確認します。

続いて、損失計算の方法を紹介します。

必要な特性は、通電損失とスイッチング損失です。

通電損失は、メーカのデータを信用します。

スイッチング特性は、電流依存性、抵抗依存性、電圧依存性を入手します。

温度は150℃または、175℃(Tjmax)で十分です。

モジュールでは、スイッチング特性の中にErrがありますが、ディスクリートにはありません。SBDのEc特性をErrの代替えとして使用します。

とは言え、スイッチング特性は配線の影響を受けます、実測出来れば実測値を、できなければ、正しいと思われる推定値を入力します。

セミナー参加者には、素子データを入力できる、計算ソフト(EXCELL版)を送付しました。使用してみたい方はメールにて”059-k170505a_C2M0025120Dの計算ソフトが欲しい“と記載して下記へ問い合わせ下さい。

contact@nsolution.co.jp

無償にて送付いたします。

計算条件を入力すれば、瞬時に損失と平均温度上昇が計算できます。

セミナーでは、正弦波で説明しましたが、ベクトル制御も二相変調も計算できます。

温度リップルを計算するには、過渡熱抵抗の近似式を登録する必要があります。

データシートに記載されている場合は、4つの熱抵抗の値を正規化して求めます。

記載されていない場合は、下記のように、データシートの過渡熱抵抗のカーブとエクセルのカーブを重ね、4つの熱抵抗と時定数を求めます。

 

 

 

この過渡熱抵抗を利用して計算する(マクロを使用)とリップル温度が求まります。

飽和時の温度リップルもマクロで計算できます。

データシートには、Tjmaxが記載されていますが、ここで計算されたリップル温度のピーク値がTjmaxを超えてはならないという意味になっていますので、平均接合温度のみでなく、リップル温度も計算しなければなりません。

 

(以上で第三部は終了です。Word版が必要な方はcontact@nsolution.co.jpまで、要求して下さい。)

 

 

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